加速度
加速度
ポイント 加速度は「速度が 1 秒あたりどれだけ変化するか」。速度と同じく向きをもつので,右向きを正とすると,左向きの速度や減速は − で表す。\(v\)-\(t\) グラフでは,加速度はグラフの傾き(接線の傾き)になる。
位置・速度・加速度の関係
ポイント 右へは「\(t\) で微分」,左へは「\(t\) で積分」。積分したときに出てくる積分定数は,\(t = 0\) のときの値(初期条件)で決める。
例題①
直線上を物体が加速度で運動している。この物体の運動について,次の (1)・(2) の平均の加速度を求めよ。ただし,右向きを正とする。
- 点Oを右向きに速さ 3.0 m/s で通過し,2.0 s 後に右向きに速さ 9.0 m/s になった。
- 点Oを右向きに速さ 24 m/s で通過し,4.0 s 後に左向きに速さ 8.0 m/s になった。
解説
平均の加速度は「速度の変化 ÷ かかった時間」\(\overline{a} = \dfrac{\Delta v}{\Delta t}\)。速度の変化は「あとの速度 − まえの速度」で,右向きを正,左向きを負として計算する。
(1)
まえは右向きに 3.0 m/s(\(+3.0\)),あとは右向きに 9.0 m/s(\(+9.0\)),時間は 2.0 s。
(2)
まえは右向きに 24 m/s(\(+24\)),あとは左向きに 8.0 m/s なので \(-8.0\)。時間は 4.0 s。
負の符号は,加速度が左向きであることを表す(「左向きに 8.0 m/s²」)。
例題②
直線上を運動する物体の時刻 \(t\)〔s〕における位置 \(r\)〔m〕,速度 \(v\)〔m/s〕とする。
- \(v = t^2 + 1\) で表されるとき,時刻 \(t = 3.0\)〔s〕のときの物体の加速度を求めよ。
- \(r = 2t^3 - t^2 + 4\) で表されるとき,時刻 \(t = 3.0\)〔s〕のときの物体の加速度を求めよ。
解説
(1)
加速度は速度を時間で微分したもの(\(a = \dfrac{dv}{dt}\))。\(t^2\) は \(2t\),定数 1 は 0 になる。
\(t = 3.0\) を代入して \(a(3.0) = 2\times 3.0 = 6.0\) m/s²
(2)
位置の式が与えられているので,まず1回微分して速度を求め,もう1回微分して加速度を求める(\(a = \dfrac{d^2 r}{dt^2}\))。
\(t = 3.0\) を代入して \(a(3.0) = 12\times 3.0 - 2 = 34\) m/s²
例題③
直線上を運動する物体の速度 \(v\)〔m/s〕と時刻 \(t\)〔s〕との関係は下図のようになる。
- 速度 \(v\) を \(t\) を用いて表せ。
- 物体の加速度 \(a\)〔m/s²〕はいくらか。
- 物体の位置 \(r\)〔m〕を \(t\) を用いて表せ。ただし,時刻 \(t = 0\)〔s〕における位置を \(r(0) = -6.0\)〔m〕とする。
- \(r\)-\(t\),\(a\)-\(t\) グラフを示せ。
- \(t = 1.0\)〜\(2.0\)〔s〕間の移動距離はいくらか。
- \(t = 1.0\)〜\(2.0\)〔s〕間の変位はいくらか。
解説
(1)速度の式
グラフは直線なので \(v = (\text{傾き})\,t + (\text{切片})\) の形。\(t = 0\) で \(v = 2.0\)(切片),1 s で 1.0 m/s ずつ増える(傾き 1)。
(2)加速度
加速度は速度の微分(\(v\)-\(t\) グラフの傾き)。
(3)位置の式
位置は速度を \(t\) で積分すると求まる。
積分定数 \(C\) は \(t = 0\) のときの位置から決める。\(r(0) = -6.0\) なので \(\dfrac{1}{2}\cdot 0^2 + 2\cdot 0 + C = -6.0\),よって \(C = -6.0\)。
(4)グラフ
\(r\)-\(t\) グラフをかくために平方完成して頂点を求める。
頂点 \((-2,\ -8)\) の下に凸の放物線。\(t = 0\) で \(r = -6\),\(r = 0\) となるのは \(\frac{1}{2}t^2 + 2t - 6 = 0\),つまり \((t+6)(t-2) = 0\) より \(t = 2\)。\(a\)-\(t\) グラフは \(a = 1.0\)(一定)の水平な直線。
(5)(6)移動距離と変位
(3) の式に \(t = 1\),\(t = 2\) を代入して,その間の位置を調べる。
変位は \(r(2) - r(1) = 0 - (-3.5) = 3.5\) m。この間 \(v > 0\) で折り返さないので,移動距離も 3.5 m。
グラフで見ると \(v\)-\(t\) グラフで \(t = 1.0\)〜\(2.0\) の部分の面積(図の赤い台形)が変位になる:\(\dfrac{(3.0 + 4.0)\times 1.0}{2} = 3.5\) m。
練習問題①
直線上を運動する物体の速度 \(v\)〔m/s〕と時刻 \(t\)〔s〕との関係は下図のようになる。
- 物体の加速度 \(a\)〔m/s²〕はいくらか。
- 物体の位置 \(r\)〔m〕を \(t\) を用いて表せ。ただし,時刻 \(t = 0\)〔s〕における位置を \(r(0) = 3.0\)〔m〕とする。
- \(r\)-\(t\) グラフを示せ。
- \(t = 0\)〜\(4.0\)〔s〕間の移動距離はいくらか。
- \(t = 0\)〜\(4.0\)〔s〕間の変位はいくらか。
解説
(1)加速度
加速度は \(v\)-\(t\) グラフの傾き。\(t = 0\) で 6.0 m/s,\(t = 3.0\) で 0 なので
速度の式は \(v = -2t + 6\)(傾き −2,切片 6)になる。
(2)位置の式
速度の式を \(t\) で積分すると位置になる。
\(r(0) = 3.0\) なので \(C = 3.0\)。よって \(r = -t^2 + 6.0t + 3.0\)。
(3)\(r\)-\(t\) グラフ
平方完成すると \(r = -(t - 3)^2 + 12\)。頂点 \((3,\ 12)\) の上に凸の放物線で,\(t = 0\) で \(r = 3\)(例題③ (4) と同じ手順)。
(4)移動距離
\(t = 3\) s で速度が 0 になり,そこで折り返す(3 s 以降は \(v < 0\) で逆向きに進む)。そこで行きと帰りに分けて考える。
0〜3 s で \(12 - 3 = 9\) m 進み,3〜4 s で \(12 - 11 = 1\) m もどる。移動距離は \(9 + 1 = 10\) m。
(5)変位
変位は最初と最後の位置の差だけで決まる。
グラフで見ると \(v\)-\(t\) グラフの面積で,\(t\) 軸より上(正)が 9 m,下(負)が 1 m。移動距離は面積をそのまま足して 10 m,変位は符号をつけて足して \(9 - 1 = 8\) m。
練習問題②
\(x\) 軸上を正の向きに 2.0 m/s² で等加速度直線運動する物体がある。物体の時刻 \(t = 0\)〔s〕での速度は \(v(0) = -6.0\)〔m/s〕であり,位置は \(x(0) = 5.0\)〔m〕である。
- 物体の時刻 \(t\)〔s〕での速度 \(v\) を \(t\) を用いて表せ。
- 物体の時刻 \(t\)〔s〕での位置 \(x\) を \(t\) を用いて表せ。
- 位置 \(x = 0\)〔m〕となる時刻を求めよ。
解説
(1)速度
加速度 \(a = 2.0\)(一定)を \(t\) で積分すると速度になる。
\(v(0) = -6.0\) より \(C_1 = -6.0\)。よって \(v = 2.0t - 6.0\)。
(2)位置
(1) の速度をさらに \(t\) で積分する。
\(x(0) = 5.0\) より \(C_2 = 5.0\)。よって \(x = t^2 - 6.0t + 5.0\)。
(3)\(x = 0\) となる時刻
(2) の式で \(x = 0\) とおいて因数分解する。
はじめは負の向きに動いて 1.0 s で原点を通り,3.0 s で折り返して,5.0 s に再び原点を通る。
練習問題③
右図は,\(x\) 軸上を運動する物体の速度 \(v\)〔m/s〕と時刻 \(t\)〔s〕の関係を表している。物体は,時刻 \(t = 0\)〔s〕のとき,位置を \(x = 0\)〔m〕とする。
- \(0 \leqq t < 1.0\),\(1.0 \leqq t < 3.0\),\(3.0 \leqq t \leqq 5.0\)〔s〕のときの物体の速度 \(v\) を \(t\) を用いてそれぞれ表せ。
- \(0 \leqq t < 1.0\),\(1.0 \leqq t < 3.0\),\(3.0 \leqq t \leqq 5.0\)〔s〕のときの物体の位置 \(x\) を \(t\) を用いてそれぞれ表せ。
- 物体の位置 \(x\)〔m〕と時刻 \(t\)〔s〕の関係を表すグラフを (2) を参考にして示せ。
- 物体の加速度 \(a\)〔m/s²〕と時刻 \(t\)〔s〕の関係を表すグラフを示せ。
解説
グラフの形が変わるところで,①\(0 \leqq t < 1\),②\(1 \leqq t < 3\),③\(3 \leqq t \leqq 5\) の3つの区間に分けて考える。
(1)速度
各区間は直線なので,傾きと切片を読む(③は \(t\) 軸との交点 (5, 0) を通る)。
- ① 傾き 1,切片 0 → \(v = t\)
- ② 傾き 0(一定) → \(v = 1.0\)
- ③ 傾き \(-\dfrac{1}{2}\),(5, 0) を通る → \(v = -\dfrac{1}{2}(t - 5) = -0.50t + 2.5\)
(2)位置
各区間の速度を積分する。積分定数はその区間のはじめの位置(前の区間の終わりの位置)で決めるのがポイント。
① \(x = \displaystyle\int t\,dt = \frac{1}{2}t^2 + C_1\)。\(x(0) = 0\) より \(C_1 = 0\)。 \(x = \dfrac{1}{2}t^2\)
② \(x = \displaystyle\int 1\,dt = t + C_2\)。①の式から \(x(1) = \dfrac{1}{2}\) なので \(\dfrac{1}{2} = 1 + C_2\),\(C_2 = -\dfrac{1}{2}\)。 \(x = t - 0.5\)
③ \(x = \displaystyle\int \left(-\frac{1}{2}t + \frac{5}{2}\right)dt = -\frac{1}{4}t^2 + \frac{5}{2}t + C_3\)。②の式から \(x(3) = \dfrac{5}{2}\) なので
よって \(x = -0.25t^2 + 2.5t - 2.75\)
(3)\(x\)-\(t\) グラフ
(2) の式から \(x(1) = 0.5\),\(x(3) = 2.5\),\(x(5) = -\dfrac{25}{4} + \dfrac{25}{2} - \dfrac{11}{4} = 3.5\) m。①は下に凸の放物線,②は直線,③は上に凸の放物線で,\(t = 5\) で止まる(その後は 3.5 m のまま)。
(4)\(a\)-\(t\) グラフ
各区間の速度を微分する(\(v\)-\(t\) グラフの傾き)。①\(a = 1.0\),②\(a = 0\),③\(a = -0.50\) m/s²。