位置・速度
位置
位置 \(\boldsymbol{r}\) = \((X,\ Y)\)
変位
変位 \(\Delta\boldsymbol{r}\) = \((X' - X,\ Y' - Y)\)
時刻 \(t\) における位置 \(\boldsymbol{r}\) は \(\boldsymbol{r}(t)\) と表す
ポイント 変位は「どこからどこへ動いたか」を表す矢印(ベクトル)。後の位置 \(\boldsymbol{r}(t+\Delta t)\) から前の位置 \(\boldsymbol{r}(t)\) を引いたもので,\(\Delta\boldsymbol{r} = \boldsymbol{r}(t+\Delta t) - \boldsymbol{r}(t)\)。途中の道のりには関係しない。
速度
ポイント \(\Delta t\) をどんどん小さくしていくと,平均の速度は「その瞬間の速度」に近づく。これが微分 \(\dfrac{d\boldsymbol{r}}{dt}\)。グラフでは,平均の速度は2点を結ぶ直線の傾き,瞬間の速度は接線の傾きになる。
例題①
時刻 \(t = 0\)〔s〕のとき,人Pはスタート地点Aから走り出し,ゴール地点Bまで左向きに走った。この人はAB間(100 m)を進むのに( . )秒 かかった。
(1) 原点Oからの点A,点Bの位置ベクトル \(\boldsymbol{r}(t)\) および,変位ベクトル \(\Delta\boldsymbol{r}\) を作図せよ。
解説
位置ベクトルは原点Oからその点へ向かう矢印。スタートの \(t = 0\) ではAにいるので \(\boldsymbol{r}(0)\) は O→A,ゴールの時刻 \(t\)(計測した時刻)ではBにいるので \(\boldsymbol{r}(t)\) は O→B。
変位ベクトル \(\Delta\boldsymbol{r}\) は前の位置から後の位置へ向かう矢印なので,A→B(左向き,長さ 100 m)になる。
(2) 点Aから点Bまでの人Pの平均の速度 \(\overline{\boldsymbol{v}}\) および平均の速さ \(\overline{v}\) はいくらか。
解説
平均の速度は「変位 ÷ 時間」。変位は A→B の向き(左向き)に 100 m,かかった時間は計測した時刻 \(t\)〔s〕なので
速度は向きをもつ量なので「左向きに \(\dfrac{100}{t}\) m/s」と向きもつけて答える。速さは向きを考えない大きさだけなので「\(\dfrac{100}{t}\) m/s」。
例題②
例題①の人Pが 100 m を走ったとき,下表は,スタート地点Aを基準 0〔m〕にした位置 \(r\)〔m〕とその地点での通過時刻 \(t\)〔s〕を示したものである。また,下表をプロットし,グラフにした。
| 位置 \(r\)〔m〕 | 0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 50 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 時刻 \(t\)〔s〕 | 0.00 | 1.91 | 3.05 | 4.03 | 4.97 | … |
- この人の 0〜40 m の間における平均の速さは何 m/s か。
- この人の 10〜30 m の間における平均の速さは何 m/s か。
- この人の 20 m 地点での瞬間の速さは何 m/s か。
解説
(1)0〜40 m の平均の速さ
平均の速さは「進んだ距離 ÷ かかった時間」。表から 0 m は 0.00 s,40 m は 4.97 s に通過したので
グラフでは,原点と (4.97, 40) を結んだ直線(図の破線)の傾きにあたる。
(2)10〜30 m の平均の速さ
10 m は 1.91 s,30 m は 4.03 s に通過したので,その間の距離と時間で割る。
(3)20 m 地点での瞬間の速さ
瞬間の速さは位置を時間で微分した \(v = \dfrac{dr}{dt}\)(グラフの接線の傾き)。グラフの式 \(r \simeq 0.848t^2 + 3.90t\) を \(t\) で微分すると
表より 20 m 地点を通過したのは \(t = 3.05\) s なので,これを代入する。
練習問題①
(1)〜(3) の図のように,\(xy\) 平面または \(xyz\) 空間を始点 A→B→C→終点 D の順に物体を移動させたときの変位ベクトル \(\Delta\boldsymbol{r}\) を図中に描き加えよ。また,この経路での物体の移動距離および変位を答えよ。ただし,\(\sqrt{2} = 1.41\) とする。
解説
移動距離は実際に通った道のりの長さの合計,変位は始点Aから終点Dへの矢印(図の赤い矢印)で,成分 \((x,\ y)\) や \((x,\ y,\ z)\) で答える。変位の成分は「終点の座標 − 始点の座標」。
(1)
A(1, 1)→B(5, 1)→C(5, 5)→D(4, 5) なので,各区間の長さを足す。
(2)
A(1, 5)→B(3, 5)→C(5, 3)→D(5, 1)。B→C は斜めに 2 マス × 2 マス進むので,三平方の定理で \(\sqrt{2^2 + 2^2} = 2\sqrt{2}\)。
(3)
A(3, 0, 0)→B(3, 3, 0)→C(0, 3, 0)→D(3, 3, 4)。C→D は \(x\) に 3,\(z\) に 4 進む斜めの移動なので \(\sqrt{3^2 + 4^2} = 5\)。
練習問題②
直線上を運動する物体の時刻 \(t\)〔s〕での位置 \(r\)〔m〕が \(r(t) = t^2 - 2t + 1\) で表されるとき,次の (1)〜(3) の問いに答えよ。
- \(t = 2.0\)〔s〕のときの,物体の位置を答えよ。
- 時刻 \(t\) のときの,物体の速度 \(v(t)\) を \(t\) を用いて表せ。
- \(t = 3.5\)〔s〕のときの,物体の速度はいくらか。
解説
(1)位置
位置の式 \(r(t)\) に \(t = 2.0\) を代入する。
(2)速度
速度は位置を時間で微分したもの(\(v = \dfrac{dr}{dt}\))。\(t^2\) は \(2t\),\(-2t\) は \(-2\),定数 1 は 0 になる。
(3)\(t = 3.5\) s の速度
(2) で求めた速度の式に \(t = 3.5\) を代入する。
練習問題③
ある物体が直線上を時刻 0〔s〕のときに,原点 0〔m〕を出発した。図は,原点からの距離とその地点での通過時刻の関係を示したグラフである。
- 時刻 0〜5.0 s のときの物体の平均の速さは何 m/s か。
- 時刻 2.0 s のときの物体の速さは何 m/s か。
- 物体が原点から 24.5 m 地点を通過するときの速さは何 m/s か。
解説
(1)平均の速さ
グラフから,5.0 s で 50 m の地点にいる。平均の速さは「距離 ÷ 時間」なので
(2)2.0 s のときの速さ
瞬間の速さを求めるには,位置を時間の式で表して微分する。グラフの点を読むと
どの点も \(r = 2t^2\) を満たす(例:\(2\times 3.0^2 = 18\))。よって \(r = 2t^2\)。これを \(t\) で微分すると速さになる。
図の赤い線は \(t = 2.0\) s での接線で,その傾き(8.0 m/s)が瞬間の速さになる。
(3)24.5 m 地点での速さ
まず 24.5 m 地点を通過する時刻を求める。\(r = 2t^2\) に \(r = 24.5\) を代入して
\(t > 0\) より \(t = 3.5\) s。この時刻を (2) の \(v = 4t\) に代入する。